老後のセカンドライフを、MM2Hという長期滞在ビザ(10年ごとに更新)を取得して移住する際に、気になることのひとつが、万一の病気や怪我などの際に、マレーシアの医療機関のレベルや費用はどうなのだろう?ということでしょう。
結論から言えば、マレーシアの医療レベルは非常に進んでおり、心配は不要です。
ただ、費用や条件など、気をつけておくべき項目はいくつもあります。
今回は、これについて詳しくみていきましょう。
1.マレーシアの医療レベル
冒頭に書いたとおり、マレーシアの医療レベルは高度であり、先進性があります。
マレーシアの医療レベルは非常に高く、高度な治療を受けられることで世界的に有名です。
そのため、近隣のインドネシアや香港、シンガポールなどから、マレーシアで医療を受けるために多くの人が訪れます。
事実、マレーシアの医師の多くは、アメリカやオーストラリアで高度な研修を受けている場合が多く、医療レベルも世界基準ですし、当然ですが英語も堪能です。
特に、筆者も居住する、首都のクアラルンプールや、ペナンにある病院の多くは、世界的にみても高水準の医療レベルであると認定されています。
こうしてみてくると、まずマレーシアでの医療レベルについては、安心してよいでしょう。
2020年(今年)に先進国入りを目標としている政府の後押しもあり、マレーシアの医療レベルはますます高度化するとみられています。
2.医療機関
続いて、マレーシアの医療機関についてみてみましょう。
マレーシアの医療機関は、大きく分けて「国公立病院」と「私立病院」の2種類があります。
(1)国公立病院
簡単に言えば、公立病院は診療費用が格安な一方、診療にかかるストレスが大きいことが挙げられます。
医療スタッフのレベルは、国公立病院でも私立病院でも、それほど大差ありません。
政府も、増加する人口と移民者を考慮して、近年では、国公立病院の医療水準を上げることに力を注いでいます。
一方、国公立病院では、日本語対応スタッフがいませんので、コミュニケーションに苦労します。
また、国公立病院は、治療費が安いこともあり、多くの地元の人々が利用するので、常に混雑しています。
病院に行って、受付を済ませてから、順番が来るまでに1-2時間待たされることは日常茶飯事です。
これは日本でも同じ状況ですね。
更に、診療については地元の人々が優先されるケースが多いので、我々のような外国人は、更に長い時間待たされることがあります。
(2)私立病院
一般的に、老後をマレーシアで長期移住する場合、ほとんどの日本人は私立病院を利用しています。
その大きな理由は、国公立病院との比較になりますが、対応のスムーズさによります。
私立病院には日本語対応スタッフがいるので、コミュニケーションに困ることはありません。
反面、私立病院は診療費用が高いというデメリットがありますが、国公立病院と違い、待ち時間が短いというメリットがあります。
地元の人々が私立病院を利用することは少なく、医師の数は多いので、私立病院ではすぐに治療の順番がやってきます。
3.医療費
マレーシアの医療費は、一般的に高額です。
例えば、ちょっと風邪をひいて近くの私立病院で診療を受けると、町の診療所で4千円程度、大きな私立病院だと7千円程度です。
公立病院だと千円弱でかかれますが、日本人には厳しいので、ここでは割愛します。
また、成人病の薬を、日本で月額6千円程度で買っていた場合、マレーシアでは、ジェネリック医薬品でも1万円以上します。
一般的な治療でなく、万一の救急治療の場合はどうでしょうか?
マレーシアでも救急車を呼ぶことはできますが、有料だし、非常に高額です。
筆者も実際に救急搬送の経験がないので、具体的な金額は不明ですが、同じ有料ならタクシーか、周囲が手伝ってGRABを呼んだほうが合理的のようです。
そして入院費用ですが、デポジット(預託金)がないと診療を受け付けてくれません。
そのため、クレジットカードを用意しておく必要があります。
病状によりますが、軽い場合でも5-10万円のデポジットが必要で、脳卒中や心筋梗塞などの重い症状の場合は、50万円以上が必要です。
更に、投薬費や病室費用、食費などを併せると、150万円くらいまで必要となります。
相当な金額といえるでしょう。
4.保険
高額な医療費ですが、基本的には、デポジットを納めた後、清算は保険で対応することとなります。
老後の移住としてMM2Hを取得する場合、その条件のひとつに、現地での医療保険の加入があります。
高齢者は、この医療保険にかかる費用は毎年32万円程度で、加入後は毎年変わりません。
この医療保険は、生命保険と連動しており、万一死亡した場合などには、高額が保障されるため、埋葬費用や後処理費用に充てることが可能です。
まとめ
みてきたように、マレーシアの医療レベルは高度で先進的であり、全く心配する必要はありません。
一方、医療費は全般的に高く、特に、日本人がかかる私立病院での各種費用は、相当に高額です。
MM2Hの条件として現地の医療保険に加入する必要がありますが、その他にも注意すべき項目は様々あります。
こうした現状をよく理解して、医療についての対策を整え、魅力溢れるマレーシアでの老後の定住を楽しんでいただければと思います。
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